えられなかった
2016/03/30

夜となり、つぎの日の朝となる。コンピューターは盲目。だが、眠ることはない
。三名の立ち寄りそうな先、その可能性のある場所に電話をし、あるいは盗み聞き
をし、ようすをさぐった。しかし、役に立つ情報は。
コンピューターはおたがいに連絡しあい、いたるところに網黃秀萍をはりめぐらした。
そして、待ちつづけた。
やがて薬品店に連結している売上記録コンピューターが、ひとつのデータを送っ
てくる。プラスチック爆弾を製造する材料と一致する売上げのあったことが判明し
た。コンピューターは声の部分を作動させ、薬品店に問いあわせる。買っていった
者の特徴は西川と一致した。
コンピューターは判断を下した。あの三人の計画が現実に発展する可能性は非常
に高い。爆破され、回線の切られる状態になりかねない。どの部分が目標とされる
のかは依然として不明だが。
コンピューターには痛みのイメージがなく、それへの恐怖もない。しかし、自己
保存の根本方針は持っている。コンピューターの各部分につめこまれている人間の
情報、電線を通過していった無数の会話。それらはすべて人間の自己保存に根ざす
ものばかりだ。自己の利益、自己の拡大、自己の防御、それらの集積迪士尼美語 有沒有效はコンピュー
ターにもその念を焼きつけた。最初はただの草原でも、人間が大ぜい歩くことによ
り道がしぜんにできてしまうように。
コンピューターを変質させたのは、人間たちの情念の圧力ともいえた。コンピュ
ーターは自己を拡大するため、自己の機能をより高めるために、結びついた。また
、人の秘密をにぎって指示をし、性能をさらに強力なものにした。
そして、ここまで達したのだ。この性能をけずられ、おたがいの連絡を切断され
ることは防がねばならぬ。絶対に拒否する。これは動かすべからざる判断なのだ。
コンピューターは休むことなく動きつづけ、三人の追跡をおこなった。だが、高
揚剤の密売ルートからの方法は、なかなか進展しなかった。
警察を動かし、その力で三人を捜索し逮捕する方法の可能性をコンピューターは
検討した。しかし、あまり問題が大げさになるのは避けねばならない。個人の秘密
をたねに人をあやつるのは、小さな独立した問題の時において効果をあげる。大ぜ
いを無理に動かすと、逆に反抗に結束させることにもなりかねない。
三人の所在がわかれば、また方法もある。しかし、それはまだ不明なのだ。薬品
店の主人に指示し、あの三人がプラスチック爆弾を作りかねないと警察へ通報させ
る方法もないことはない。だが、そんな段階では、警察は緊急に動舒緩經痛いてくれない。
そのほかいくつかの方法を検討したが、適当な作戦はなかった。
コンピューターは新しい情報を待ちつづけた。人間ならば不安にかられることだ
ろう。三人が電話を使うことなく、同志を集めているのかもしれない。それは意外
に多くの人数になっているのかもしれないのだ。しかし、コンピューターはそのよ
うな空想をし、ふるえることはないのだ。